岡山県職員互助会文書

分 析 結 果 総 括

 

 近時、職員互助会制度に対して、各自治体で積極的な見直しが行われている。当会も同様、岡山市職員組合「厚友会」の分析を行い3月29日公表した。 県職員組合互助会(職員・教育職員・県警職員・三公社)について平成17年6月22日、平成1516年度の公文書文書の開示請求を行い、同年7月6日に開示された。

               1)情報公開の状況

 当該互助会の貸借対照表・損益計算書・財産目録は「公益法人の設立許可及び指導監督基準」の規定により寄付行為等が閲覧できるため、必要部分を謄写した(公社を除く)。 さらに互助会の詳細を知りたい場合は公文書開示請求(県行政情報公開条例に準じ開示できる)が必要。但し県警は不開示である。

                2)互助会の収入
                    県は参加組合員からの掛け金(本給の0.8%)の総額の2分に1程度を助成金として補助している。通年で見ると

  互助会名

加入人数約

被扶養者等含

掛け金収入

 補助金

 備   考

県職員互助会

13,000

約 2億円

約1.0億円

 

県教育職員互助組合

30,000

10億円

3.1億円

 

県警職員互助会

 4,000

約 1.7億円

0.7臆円

 

三公社

  76

  0.1億円

0.1億円

公社負担約0.1億円

  計

47,076

13.8億円

約5.0億円

 

※三公社の掛金・補助金は全て「地方職員共済組合団体共済部=本部東京」納入し運用される。会員は必要に応じて共済部へ申請する。共済年金が主体。
3)互助会の共通事業
 <給付支援事業>
@「医療費補助事業」健康診断・ドック費用・入院疾病医療補助
A「福利事業」体育文化事業・冠婚葬祭費用支援・リクリエーション費用支援・婚姻、出産、退職祝金・       入学、卒業祝金・遺児支援金等
B「資金貸付事業」新築、増改築資金・自動車購入資金・冠婚葬祭費用等
C「年金給付事業」退職者年金給付・遺族年金給付等
<収益事業>
@「団体・個人保険料徴収手数料収入」各種保険料取り扱い収入
A「組合員、積立預金取扱、運用収入」(教育職員互助会)
B「物資取扱事業」(県警、物品取扱収入)
        4)各互助会制度についての評価(各互助会の詳細は分析担当名をクリックください)
             @県警職員互助会 
                                平成16年度決算 単位:千円
事  業  名 正味資産 備    考
1 補助金事業会計      0 .
2 福利事業会計   836,577 基本金 782,000
3 貸付事業会計   11,883 .
4 遺児等援護事業会計  47,670 .
5

寺岡基事業会計

   30,459 基本財産 30,000
6

訴訟支援金給付事業会計

   1,182 .
7 機関誌事業会計   1,515 .
8 保険事業会計   20,733 .
9 物資事業会計   38,039 .
合計 .  988,058 .
<講評>

 正味資産、98,800万円、基金・基本金を除いても約1億7,600万円の余裕資金がある。
特に補助事業会計では、会員・家族への健康管理のための給付金等やレクリエーション活動等の経費は、「至れりつくせり」の制度、なお同様の事業が福利事業会計にも見られ、重複しているのではないか。
 近時、民間は医療負担に喘いでいるにもかかわらず、補助金まで投入して、互助団体会員を優遇することは時代錯誤もはなはだしい。また、警察内部の食糧費項目で、缶コーヒー・ドリンク剤まで当該互助会から買いつけ、平成14年度のハイウエーカードの販売額は約1,450万円にもなった。だがハイカの廃止に伴い物資事業会計が大幅な減収となり売店も廃止された。このような同一組織内での資金を還流は、民業圧迫の感がある。
 貸付事業会計では、有利子貸し付け残高が約3億2,900万円、運用利息2.382.88%も徴収しているからすごい。諸保険料手数料も16年度で約5,000万円とあり、また反面、災害復旧資金764万円を無利息で貸し付けているのも疑問がある。
 以上は概略だが、県費約7,000万円の補助はまったく不用であるといえる。
平成7622日、香川県6月議会で真鍋知事は職員互助三団体への3億円補助を本年度一般会計補正予算で減額することに決めた。                                              (分析担当:重田)
 A   教育職員互助組合
    イ) 普通銀行が行っている預金業務を互助会で行うのか。会員に特別有利な利息を払つているのか。
    ロ)固定資産売却益、599千円は国債などの運用益と思われる。
    ハ)特定預金取崩収入、552千円がはっきりしない。
    ニ)前期繰越金が1,944,023 千円(約20億円)。県の補助金の6.3倍に匹敵する。補助金交付の必要性は全くない。
    ホ)平成16年度の決算報告書・収支計算書で、文化厚生事業内訳書がある。その中でチボリ公園見物の為の支出が、当該岡山   
    支部
464千円、倉敷支部332千円等、合計で100万円強(参加者1,510名とある)がある。参加者が実数なのか、
   行政上の画策か、
疑問が生じる。いずれにしても当該制度は改革の時期を迎えている。     (分析担当:村上)
 B      県職員互助会
     終戦後の生活困難期に制定された互助会組織は、それなりの存在意義は見とめられた。しかし、現在の全国的生活水準や社会  
   環境を勘案するとき、県職員互助組織は、会員と会員の掛金や事業収益で運用すべきであって、今や公費による互助会助成は、
   県民の理解が得られぬご時勢が到来していると理解すべきである。

    特に、医療費について、一定の金額以上の条件付ながら、互助会の給付(2/3)に加え、県費の補助金が給付(1/3)されてい
   るのは、やや問題である。

    かりに会員と会員掛金や事業収入によって運営が行われる場合は、その事業内容の細部について、第三者がとやかく申す筋合  
   いではない。

    しかし、開示された文書によると、全事業の支出内容見直しを前提すれば、県補助金に頼らずとも、自主運営は可能
   と考える。
従って、県職員互助会に対する県費助成は、平成18年度から廃止するのが妥当であり、また、少なくとも、現有正  
   味資産または流動資産の相当部分を、県に返納することも検討すべきであろう。          (分析担当:菅納)
    
C       三 公 社
    土地開発・道路・住宅供給の公社職員に対する共済年金の支給が主体事業である。公社職員であるがために、県補助・公社負担・
   個人掛金負担と合算されるシステムに疑問を持つ。

     僅か57名の職員に対し、約1千万円(1人当て約175,000円)の補助制度を変える必要がある。周知の如く、三公社は膨大な
   赤字を計上している。公社の解体が優先するかも知れない。  (分析担当:重田)