賠償金引渡しにあたってのコメント(和解事件

 平成12年10月2日に「下水道水増し」住民訴訟を提訴いて以来10年、昨年9月10日に広島高裁岡
山支部で判決を受けてから1年、今日ようやく、岡山市に一部の賠償金の引渡しをすることができま
した。市民オンブズマンおかやまは本来、自治体に迷惑をかける団体ではありません。自治体が諸
々のしがらみその他のため損害の賠償をいいだせないようなときに、代わって賠償をさせて、市民
県民が損失を受けないようにするのが、市民オンブズマンの本来の趣旨です。長い時間がかかっ
てしまいましたが、その趣旨を実現することができて、市民オンブズマン一同、たいへん嬉しく、ま
た満足に思っています

 法や規則に違反して国に水増しを報告した結果、市(つまり市民全員)が大きな損害を受けた、
というのがこの事件です。違法なことが行なわれて損害が出たのですから、責任のある人が弁償
するのは社会の常識、民間ならあたりまえのことです。
 今日の引き渡しで、長い時間がかかったものの、そうした社会の常識、市民の常識を実現できま
した。また、岡山市が財政難に悩んでいるこの時期に、わずかながらその克服に貢献することがで
きました。私たちにとって、二重三重に嬉しいことです。

 今後、この事件については残る賠償の実現に努め。また自治体(すなわち市民県民)が損をする
ことがないように、行政の監視に努めたいと考えています。
 今後とも、私たちの活動に、皆さんがたの温かいご支援・ご声援をお願い申しあげます。

                                                      
 
                                 平成22年9月1日
 代表幹事:光成卓明

【マメ解説】

 平成21226日、広島高裁岡山支部が岡山市の元市長、助役、水道局長ら7名に対して約11億8千万円の賠
償を命じる判決を言い渡しました。

この判決は市の幹部職員が組織的に違法行為を行ったとして、その結果市に生じた損害の賠償を命じた画期的な
判決で、全国的に大きな反響を呼びました。できるだけわかりやすく説明したいと思いますが、地方交付税が関係
するためなかなか複雑で、ご満足が行かない点がありましたらご容赦下さい。

ことの発端は、平成12年、萩原前市長就任直後に、従来公表されていた下水道普及率と下水道利用人口は国の
決めた基準に合っておらず、間違いだったと発表されたことです。まもなく、この「水増し」のせいで地方交付税
29年間ももらいすぎていたことがわかり、余分にもらった19億円余と加算金(ペナルティ)21億円余、合計41
億円余を国に返還させられたのです。

これを知った「市民オンブズマンおかやま」のメンバーらは怒り心頭に発し、もらいすぎていた交付金の返還は
しかたがないが、加算金は市民の血税であり、幹部職員らの違法行為のために生じた損害だから弁償せよと、歴代
の幹部職員に対して住民訴訟をおこしたのです。

何が違法だったのか。国の基準では、下水道の普及率の計算に使う「利用人口」は、住民基本台帳の「定住人口
」を使うことになっています。岡山市はそれに従わないで、ずっと「昼間人口」で計算して公表していました。皆
さんもお分かりでしょうが、昼間は市中心部へ人が大勢入ってきますので、定住人口よりはるかに大きくなりま
す。当時公表されていた普及率は
50.5%でしたが、実際は36.3%だったのです。

この「下水道利用人口」の数字は、国からもらう地方交付税の計算にも使われていました。岡山市はそれがわか
っていながら、国にもこの「水増しされた利用人口」を報告していました。そのために交付税がもらいすぎになり
、加算金までとられたのです。この間、市長は岡崎・松本・安宅とかわり、助役や局長も大勢かわっています。軌
道修正するチャンスは何度もあったのに、面子にこだわって?市財政に莫大な損失を出させたのですから、責任は
重大です。

今回の判決は、為政者は法を守って真剣に職務を遂行せねばならないという警鐘を鳴らしたものだと言えるでし
ょう。

★賠償金額★ 平成22年9月1日、市下水道局長:尾崎正明氏へ授受

1)元岡山市長・・・・・・・賠償額交渉中

2)元水道局長・・・・・・・1名、1300万円、5名、6500万円

3)元水道局助役・・・・・1名、700万円

岡山市に返還した金額・・・7200万円