質 問 書
岡山市長
萩原誠司 殿
平成12年 5月19日
岡山市乙多見347番地
市民オンブズマンおかやま
代 表 東 隆司
副代表 須藤暁子
副代表 光成卓明
事務局長 重田龍三
拝啓
ご就任2年目を迎えられ、ますますご精励のことと存じます。公務ご多忙のおりから恐縮ながら、書面をもって質問させていただきます。
1.私たち市民オンブズマンおかやまは、昨年11月4日貴職に対し、岡山市が下水道利用人口の水増しによる普通交付税不正請求のために国に対して支払わされた21億190万円の加算金のうち、昭和55年度分から平成10年度分までの19ケ年分について、
(1)速やかに責任の所在を究明し、市に対して賠償責任ありと考えられる者全員に対して、損害賠償請求の措置をとられるべきこと、
(2)究明および賠償請求の全過程について、全市民に対して公表せられるべきこと、
(3)とりわけ昭和55年度分にかかる加算金については、除斥期間の徒過によって損害賠償請求が不可能となることのないよう、緊急の措置を講ぜられるべきこと、を申入いたしました。ところが、半年が経過した今なお、市内部で調査究明が行われているということを、ついぞ耳にすることができません。
2.昨年9月の定例市議会で、大森下水道局長は次のように答弁されました。
(1)下水道の現在排水人口が地方交付税の算定の基礎になることについて、下水道局総務課は知っていたが、同局調整課は知らなかった。
(2)下水道局調整課から報告された数値が定住人口に基づいたものでないことを、下水道局総務課は知らなかった。
3.私たちは、さきの申入れ以後、さきの答弁の真否について検証を行いました。その結果、次の事実が判明しました。
(1)毎年行われる公共施設状況調査にあたっては、財政課長から各部課長あての依頼書が発せられるが、
・依頼書には、調査結果が普通交付税の算定資料として使われることが明記されており、
・依頼書に添付されている調査表記載要領の中の下水道のくだりには、現在排水人口は住民基本台帳搭載人口及び外国人登録人口を記入すべきことが明記されている。
従って、下水道局調整課が、下水道の現在排水人口が地方(普通)交付税の算定基礎となることを知らなかったということはありえない。
(2)歴代の下水道局総務課の課長及び課長補佐の中には、同局計画課の課長補佐を勤めた経歴を有する者が2名ある。従って、総務課が計画課の提出した数値が定住人口に基づくものと信じていたということはありえない。
(3)歴代の財政局財政課の課長の中には、下水道局総務課の課長補佐を勤めた経歴を有する者が2名ある。従って、財政局財政課が下水道局の提出した数値が定住人口に基づくものと信じていたということはありえない。
(4)岡山市議会において、平成3年12月19日建設委員会、同月24日本会議、平成4年6月12日建設委員会の3度にわたって、「下水道普及率の中に昼間人口が含まれている」との趣旨の指摘がなされている。従って、少なくともこの時期の市長、助役、財政・下水道両局長らは、普通交付税の算定基礎となる現在排水人口の数値に虚偽があることを知っている。以上の事実に照らせば、先の大森下水道局長の答弁はとうてい真実とは信じられません。これらの直接・間接の事実は、私たちの目には、ただ一つの方向を指しているように思われます。すなわち、長年にわたる下水道利用人口の水増し報告は、市長以下、関係者全員が承知のうえで行われていたのだという方向を。
4.さきの事実は、私たちの限られた調査能力によってすら比較的容易に判明したところですので、貴職が調査を行われたのであればすでにご承知のことばかりでありましょう。にもかかわらず、私たち市民に対してこれらの事実が知らされないのは何故でしょうか。貴職自らこれらの事実の隠蔽に関与しておられるのでしょうか。それとも何らかの原因で事実そのものをご存じないのでしょうか。
5.普通交付税の算定基礎となる数値の、県への報告及び検収は、毎年7月ころに終了します。してみれば、昭和55年度分の下水道利用人口の虚偽報告についての不法行責任を問うことができる期限は、実に目前に迫っています。私たちは、事態が切迫していることに鑑み、あえて書面をもって貴職に以下の質問を呈し、ご回答を待つものです。
敬具
質 問 事 項
1.昨年9月以降、昭和55年度から平成10年度に至る間の下水道利用人口の虚偽報告の実情と責任の所在について、貴職は何らかの調査を行われたで
しょうか。調査を行われたのであれば、その結果は如何なものだったでしょうか。
調査を行われなかったのであれば、その理由は何でしょうか。
2.貴職は、昨年9月市議会での下水道局長の答弁を、今なお真実を述べたものと信じられますか。今なお信じられるとすれば、その根拠は何でしょうか。
3.貴職は、岡山市が国に支払った加算金について、虚偽報告をなした責任者に対して損害賠償請求の措置をとられるお考えがおありでしょうか。もしそのお考えがないとすれば、その理由は何でしょうか。