平成18年1月25日
岡山県議会議長
小枝 英勲 様
市民オンブズマンおかやま
代表 重田龍三
申 入 書
一、要 旨
議会の議員の報酬及び費用弁償等に関する条例(以下「条例」という)第三条3項の費用弁償 の規定は妥当性を欠くものであるから改正を求める。
二、理 由
条例第三条3項は議員が定例会、各種委員会のため出庁するごとに支給される費用を支弁す るいわば、出庁に係る交通費を定めた規定である。しかし、当会が平成17年11月16日に開示を受けた「平成16年度、平成17年度上半期中、岡山県議会議員に支払われた招集に応じて旅行する場合における議員個人別費用弁償支払金額の明細。」によれば交通費として解釈するには余りある、きわめて高額な支払いが執行されていた。
交通費としての支弁であるなら、本来は自宅から議会庁舎まで公共交通機関を利用した実費であるべきで、当会の試算で議員全員がJRやバスなどの公共機関を利用した場合、平成16年度の試算額は7,099,720円であった。
ところが、実際の費用弁償金額は50,093,000円で当会の試算額との差額は42,993,280円となった。この件について、当局へ回答を求めた結果、日当的金額が含まれているとのことであった。
費用弁償とは、一般的に「職務を行うために要した経費を補うために金銭を支払うこと、又はその金銭」と解されている。しかるに、条例で定める1日当たりの費用弁償は出庁に要する経費を大きく上回っており、妥当性を欠くものである。
議員の職務は出庁し立法職務を遂行することであるから、月額報酬、年間賞与、第二の報酬といわれる政務調査費、国内外視察(旅行)費用弁償などが認められている。
これらの給付があるにもかかわらず、出庁にかかる交通費に日当的金額が加算されこれが全額非課税となっているのは、税負担の公平性の原則にも違反している。
議会当局は実費交通費に相当する金額を算定しているというが、岡山県人事委員会規則第十三号、通勤手当てに関する規則第六条には「交通機関等に係る通勤手当の額は、運賃、時間、距離等の事情に照らし最も経済的かつ合理的と認められる通常の通勤の経路及び方法により算出するものとする。」と規定している。
上記規則の定めに対比すると本条例第三条3項はきわめて妥当性を欠くもので、実費計算に条例を改めるべきである。
財政危機が叫ばれて久しいが、財政改革の旗手を努めるべき議会においてまず「隗より始めよ」の姿勢が必要であり、議員自らが襟を正し一層の経費削減を行うことは当然であり、そうすることによって初めて納税者の理解を得ることができる。
なお、本状へのご回答を平成18年2月25日までにお願いいたします。
<参考>
1) 大阪市議会(定数89名)平成16年12月16日開会される市議会に自民、民主、
公明の3会派の幹事長が合意のうえ、当該費用弁償を廃止するよう提案した。政令指定都 市では初めて。
2) 堺市議会では、議員2名が当該費用弁償を供託し、全会一致で費用弁償廃止を行った。
3) 西宮市議会は費用弁償13,000円の内2,050円が源泉徴収されている。
4) 都議会議員、後藤雄一氏は都議会の応招旅費(費用弁償)を都議の自宅から都庁 までの公共交通機関の交通費と条例を改正するよう要望した。