霞ヶ関、情報公開ツアー★<2篇>

霞が関情報公開ツアー報告
 99年12月2日「霞が関情報公開ツァー」、岡山からは須藤さんと私。情報公開法はまだできていませんが、省庁には「情報提供」(好意で見せてくれる)のガイドラインがあるので、これを使って請求してみて、情報がどれくらい出てくるか試してみよう、というわけです。
 メインは官庁の天下りリスト。岡山からは岡南飛行場整備事業への補助金関係書類(運輸省)と、「地球学校」(王子アルカディアを環境庁が買い取ろうとして、結局ツブレた計画)関係の予算要求書など(環境庁)。

1.お役人の天下りリストは、出ることは出た(但し名前はカット)。ていうか、予め文書で要求していたもんだから、お役所の方が相談ずみで、どこの省庁でも特別に用意して待ち構えていた。例。大蔵省に行った大阪のAさん、予想以上に親切に出られて、気をよくして帰ってきた。そのあと、人事院に提出されてるデータから名前をカットしただけのモノだとわかった。Aさん、口惜しがるまいことか。いわく、「だまされて喜んでしまっ
た自分が悔しい」云々。

2.予告なしで行った人たちはかなり酷い目にあった。建設省で天下りリストを請求したBさんは、
3つばかりの課をタライ回しにされた。要するに、この方がフツウなんでしょうな。

3.運輸省などでは「官房文書課」なるところが担当していて、ここの応対は(機械的ながら)テキパキしている。ところが、そうでない官庁ではみんな多かれ少なかれ冷やかに迎えられた。環境庁(ナントカ企画課という「地球学校計画」の担当部署)の女性キャリアの冷血っぷり‥‥「ツララの君」と呼びたい‥‥は須藤さんの報告のとおり。環境庁の場合、私が事前に電話したときに相当タライ回しにあった。当日イキナリ行ってたらかなり酷い経験ができたに違いない。惜しいッ!

4.環境庁は、呆れるくらい何にもくれなかった。ツララの君曰く‥‥延々と食い下がったあげくですよ‥‥正式文書はありません。稟議書もありません。正式な文書は大蔵省が予算をくれそうになってから作るのです。ウチワの説明資料はありますが、出せません。法律が成立してもそれは出ません。裁判になったら?なったときのことです。(○○したろか、この××。)唯一の収穫、県と玉野市の要望書。なんと、計画が新聞報道されたよりもアトから出ている。何なんだこれは。

5.思うに、運輸省などは、ふだんから欠陥車問題やら何やらでデータの要求を受け慣れているので、対応がスレているのだ(但し物的サービスがなっちゃいねェことは、これまた須藤さんの報告どおり)。一皮むいたら腹の底はみな同じ、と覚悟するべきでしょう。

6.不評であった役所の中に、たぶん皆さん意外に感じられるであろう官庁があります。なんと国民生活センター。PL関係のデータを要求したところ、全面拒否をくった。国民生活センターは国民のためにある、と庶民的に思ってちゃいけないらしい。

7.結論。情報公開法ができたらお役所が誠実に情報を出してくれるなどと予想してはい
けません。そんな甘い予想をしている人は、心をいれかえたほうがよろしい。ころころ拒
絶されて、ばんばん裁判して、いやがるのをむりやり□□するくらいでなけりゃ、お役人
なんて変わるもんじゃない。
                                            (光成卓明)
           
霞が関お疲れツアーこぼれ話
 12月2日、情報公開法案の国会審議にハッパをかけるため、全国オンブズマンが霞が関官庁街ツァーを行った。とは言っても、観光ツァーにあらず、そこは正攻法。全国津々浦々から集まった面々が、官僚の天下り状況などを調べるため、各省庁の情報公開度を探索する探検ツァーである。「官庁」を象徴するような小雨まじりの冷たい風にあおられながら、同じような高層ビルばかりでどこがどこやらわからない坂の多い道をウロウロと‥‥私たち岡山勢は、運輸省(岡南飛行場)と環境庁(王子アルカディア)に。そこでのお疲れこぼれ話を一席。
 
 運輸省では(天下りリストや欠陥車データなどの請求もあったので)、お役人15人くらいがズラリ勢ぞろいしたお出迎えを受け、問答の結果、山のような文書の束が開示されたが、その後大変な労力が待ちうけていた。閲覧・コピーはOKだが、コピー代一枚30円、硬貨を入れないと作動しない代物で、お役人はじっと見ているだけ、全ての作業を自分たちでしなければならない。図書室の隅の書類を広げるスペースもない所で、光成さんが闇雲に書類を選別して(何しろ時間の余裕がない)コピーにかけ、私はなけなしの硬貨を料金機にチャリンチャリンと入れる役。すぐに手持ちの硬貨がなくなってしまったが、図書室では両替をしてくれないので、8階から地下の売店まで両替に走らねばならず、書類の整理を手伝って下さった「大阪見張り番」の方はとうとう疲れて腰痛が出てしまいました。役に立つか立たないか見当もつかない文書との格闘に疲れ果てた3人組へのお土産は、膨大なコピーの重荷でした。
 
 所変わって環境庁で待ち受けていたのは、「スキは見せませんよ」という表情のキャリア女性。私にはチラリと目を向けただけで光成さんに目を据え、理論武装したかのような言葉をバババーと発射。弁護士バッヂのせいか、男だからか、特別理由はないのかわかりませんが、私の受けた第一印象です。このようなシチュエイションは光成さんの得意とするところで、楽しげに相手に負けない早口で応酬。見物人としては楽しいやりとりでしたが、開示された文書はお粗末そのもので、岡山県と玉野市から同じ日に出された同じような文章の要望書のみ。王子アルカディアを買い取る90億円の補正予算を通すための稟議書はじめ、一切の公文書は不存在との返答。
 
 役所の内部文書は国民に見せるためのものではないという伏魔殿の闇の中にすべては消えてしまったのです。薬害エイズの教訓はどこへ行ったのか。「役所とはこんなものですよ」という女性官僚から初めての微笑がこぼれた。情けない一席でした。お粗末さま。
                                            (須藤暁子)