政務調査費

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政務調査費ってなんですか?

1 政務調査費ってなんですか?
 政務調査費というのは、簡単に言ってしまうと、「自治体から議員や会派に、議員報酬のほかに、『調査研究の費用』として渡されるお金」です。金額は自治体によって様々で、例えば岡山県は議員一人月350,000円、岡山市は135,000円、津山市は58,000円です。基本が「経費」なので、税金がかかりません。
 ふつう年に4回、3か月分ずつ渡され、年度が終わってから「収支報告書」を出して「精算」し、余りがあれば返すことになっています。ところが、以前は「収支報告書」というのは紙1枚出せばよくて、使い道は事実上野放しだったので、実質「第2の報酬」みたいになっていました。
 そんなら面倒なことをしないで、報酬を増やせばいいじゃないかって?実際そうなんですが、議員さんは「報酬をどんどん増やす」とあまり言われたくないらしいのですねえ。それで、「調査研究の費用なら、まあいいか」と言ってもらえるだろうというので、「政務調査費」がどんどん増えてきたらしいのです。

2 政務調査費のれきし
 地方自治法ではもともと、「議員さんには、報酬・ボーナス・費用弁償のほかは、名目がなんであっても、法律で決めてないお金を出してはいけない」ことになっていました。それでも「会派に払うんだ」とか「費用弁償だ」とか理屈をつけて支払われていたのですが、やっぱり議員さんとしても「法律に根拠があるのか」と突っ込まれるのは嫌だったらしいのです。ときどき住民訴訟とかも起きていて、自治体側が負けることもあったりしましたし。
 それで、「全国都道府県議長会」とか「全国市議長会」とかのご立派な団体が長年、「法律上の根拠を作ってくれ」と運動して、平成12年に地方自治法に、「調査研究の経費の一部として、政務調査費を支給できる」という条文ができました。

3 やぶへび
 ところが、法律に書いてもらったまでは良かったのですが、そうするとかえって、使い道について色々と注文がつけやすなりました。「こんな支払いのどこが『必要な経費』か」とか。そうして、全国のオンブズマンがどんどん住民訴訟を起こす(でもって、とくに最近はよく勝つ)ようになってきました。大きなところでは、平成18年東京地裁769万円、19年大阪高裁646万円、仙台高裁519万円と504万円、仙台地裁665万円、20年名古屋高裁金沢支部1540万円、21年仙台地裁9500万円、22年熊本地裁478万円、23年仙台高裁665万円と1010万円、大分地裁3616万円、名古屋地裁4614万円、徳島地裁463万円……まあ世の中、「ファジーなまんまにしておいたほうがおトク」なんてことは良くあるのです。
 しかも「住民にちゃんと説明しなさい」ということになったので、「収支報告書」1枚だけというわけにだんだんいかなくなり、領収書を出さないといけなくなってきました。するとオンブズマンはいけ図々しく情報公開でそのコピーを手に入れて…数千枚と言うスケールですが…よけいに本格的な住民訴訟を起こすようになったのです。裁判所に「返還しろ」と言われることが増えてきて、金額も大きくなってきているのは、そのためです。

4 市民オンブズマンおかやまは?
 私たちは、政務調査費について、いま4件の住民訴訟を起こしています。平成19年度岡山市2935万円、20年度岡山市3513万円、21年度岡山市3305万円、21年度岡山県9416万円です。岡山県が21年度からなのは、県議会がそれ以前には領収書を出していなかったから。22年度分の岡山市と岡山県も、4月に監査請求するためにいま準備中です。
 これらはどれも、領収書をぜんぶコピーして、ぜんぶ分析して、怪しげなものはぜんぶ訴える、「政務調査費ぜんぶ訴訟」(オンブズマン語)です。ここまで徹底してやっているオンブズマンは、全国でもいま岡山だけです。

5 今年は判決!
 4件の裁判の中で、いちばん早く(21年7月)起こしていた岡山市の事件が、今年中ころにも判決が出そうな様子になってきました。もちろん、オンブズマンの言い分が全部認められるとは限りませんが、よその裁判所で出ている判決の傾向とかを見ていると、相当の判決が期待できそうです。
 ――でもって、議員さんたちがそれでココロを入れ替えてくださったら、毎年1万枚からのコピーをチェックしなくても良くなるのですけれどねー。


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