NPO法人市民オンブズマンおかやま
1 政務活動費の不適正な支出の状況は、平成21〜25年度と比較して、あまり改善されていません。
2 公明党岡山県議団と共産党岡山県議団以外の議員は、現段階では、査定結果が実際より大幅に悪く出ます。@個人名入りの領収書が墨塗りでしか開示されないこと、A添付提出書類を制限するため、広報紙の実物などの資料が開示されないこと、B公明党・共産党以外の会派から任意の追加開示が十分に得られなかったこと、によるものです。このグループについては、訴訟段階になってこれらの資料が開示されれば、ある程度是認率は改善するでしょう(推定で、自民党30%、民県ク60%、県民・緑70%、無所属50%)。
3 2の事情を考慮に入れても、自民党県議団の政務活動費支出の不適正率は非常に高いものと言えます。その主な原因は、次の3つです。@県議団の団費の使途が不適正であること。A事務所賃料・人件費の支出が多く、それについての按分が不十分なものが多いこと。B自己または家族が代表者を務める会社に対する支払額(賃料、人件費など)の多い議員が複数あること。
4 自民党県議団以外の会派についても、支出否認額の大半を占めるのは「按分不十分」です。政務活動費の按分支出を、どのような支出についてどの程度しなければならないかは、裁判所の判決例がすでに固まっている分野(事務所費など)が多数あります。こうした判決例の基準に照らしても、岡山県議会(とりわけ自民党県議団)の政務活動費の支出は不適正なものが大量に含まれています。
5 今回も、領収書が提出されない「支出額1万円以下の政務活動費」について、28人の議員に対して総額1892万3833円の返還請求を求めました。領収書をチェックできないと、ふつうの場合は、支出が適正かどうかはわかりません。しかし、これらの議員の「1万円以下の支出」の状況は明らかに異常です。
@ 飲食代金、あるいは寄付類似行為と推定される支出が含まれています。(調査研究費、研修費、会議費等に集中します。)
A 「この科目でこの金額の支出があって、『按分しているとは思えない』ものや、『全部が1万円以下なはずがない』ものが、多数あります。
B 「異常な1万円以下支出」の多い議員は、「1万円以下の支出」率が異常に高くなる傾向があります。28人中26人が所属する自民党岡山県議団の平均「1万円以下支出」率は21.5%ですが、50%を超える議員が3人(小野議員77.2%、渡辺英気議員67.7%、池本議員57.3%)、40%を超える議員が2人(戸室議員46.6%、内山議員44.3%)あります。小野、渡辺両議員は、平成21年度から26年度まで毎年度「1万円以下率」が50%を超えています。 この状況は、平成25年度までとくらべると、わずかながら改善されています。(平成25年度には、自民党県議団の平均「1万円以下率」は27.3%、50%を超える議員5人、40%を超える議員5人、監査請求した「1万円以下支出」は22人2158万6875円でした。)一部のきわめて「1万円以下」支出の多かった数人の議員が支出のしかたを変えたことによるものです。
それでも「異常な1万円以下支出」は依然として多く、全体としての問題状況は変わっていません。
6 市民オンブズマンおかやまは、岡山県議会の平成21〜25年度の政務調査費について住民訴訟を提起し、岡山地裁で現在審理中です。
これらの訴訟の中で、最高裁が「1万円以下」支出分の領収書と会計帳簿の提出を命じたため、これらの領収書・帳簿が順次裁判所に提出されています。わたしたちはこの提出資料の整理分析中ですが、違法と考えられる支出が多数発見されました。のみならず、収支報告書と領収書・帳簿の金額が合わないもの、帳簿の体裁をなしていない「帳簿」、支出額1万円を超えるにもかかわらず領収書を添付しなかった支出なども、多数発見されました。
平成21年度分を例にとると、典型的な「違法な1万円以下支出」は以下のとおりでした(対象被告20人中、帳簿・領収書の提出がない1人、及び、提出にあたって支出を「再整理」されたため収支報告書との照合ができない1人を除く、18人の分析結果)。
@ 飲食店発行の飲食代金領収書や、懇親会・新年会など明らかに飲食を伴う会合の参加費用(つまり議員自身の飲食代金)、14人175件。
A 他人の食事代・弁当代などを「おごった」支出、4人41件。
B 会合や議員の参加の性質・目的が不明で、@飲食代金かAいわゆる「花代」のいずれかと考えられるもの、14人286件。
C 実態不明の団体や宗教団体を含む各種団体の会費、7人130件。
D 事務費・光熱水費・切手類購入費、自動車燃料代、高速料金、駐車料等を按分しない支出、8人665件。
E 多種の燃料油給油、同日複数回の給油、他人宛領収書による給油、複数のETCカードの使用など、他人の燃料代・高速料金の混入が疑われる支出、7人154件。
F 目的不明の遠距離旅費、宿泊料、6人65件。
G 多数回の和洋菓子購入(「手土産」と疑われる)、明細不明ないし明らかに家庭用(明太子、五穀米など)の食料品購入費、8人182件。
H 設置・使用状況不明の電話・ガス・電気・浄化槽代金、2人81件。
I 実質的に常勤の人件費を按分しない支出、3人237件。
? 事務職員らしき複数の認定人に対する「資料印刷費」「会場借上費」「資料購入費」、1人40件。
? 領収書のない支出、4人224件。
7 県議会が、平成25年度分までの経験にもかかわらず、@政務活動費の支出姿勢を改めず、A「1万円以下」支出のありかたも一部を除き改めず、B政務活動費の収支報告にあたっての添付書類の制限や、個人名入りの領収書の墨塗り開示の取扱いを全く変えないことは、はなはだ不適切です。このような公開のあり方では、政務活動費の使途を県民に対して説明する責務を果たしているとはとうてい言えません。
8 全国の都道府県議会の中で、政務活動費の領収書を一部しか開示しないのは、岡山県議会だけです(27年度からようやく全部開示されますが)。しかも、制度を悪用して違法支出をする議員がいるので、形式だけではなく実質のうえでも日本一不透明です。
私たちは、岡山県議会の政務活動費のあり方が改まるまで、監査請求と住民訴訟を起こし続けます。
また、@政務活動費の会計帳簿の提出、A領収書・帳簿のHP上での公開、B領収書等の説明資料の添付制限の撤廃を求めて、活動を続けます。
9 わたしたちは、今回の監査請求についても、棄却されれば、ただちに住民訴訟を提起します。
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