初開示・岡山県議会、政務調査研究費
「政務調査費収支報告書」(平成13年度)は、依然として闇の中!
'02.6.3
<分析・文責 菅納忠彦>
1. 「政務調査費」とは何か? ええっ! 年額420万円も!
・政務調査費は、県会議員の議会活動に必要な調査研究等に要する経費として、「交付条例」により議員の請求に基づき交付されます。
・この政務調査費は、「条例第三条」により、在職する議員に対し、なんと年額420万円(月額35万円)も交付されているのです。
・交付を受けた議員は、「条例第七条」により、政務調査費の使途基準(別紙参
照)に従い使用しなければなりません。
・また議員は、「条例第八条」<収入及び支出の報告書>(以下「収支報告書」という)を、支給された年度の翌年度の4月30日までに議長に提出しなければならず、「条例第十条」により、収支に残余がある場合、残余額を議長に返還することになります。
2. 「収支報告書」は公開される? ええっ! 閲覧だけ!
・従来から、政務調査費は議員に対する「第二の報酬」とか「裏給与」だといわれ、県民から疑惑がもたれていましたが、平成13年度分から「収支報告書」(A4版1枚)を議長へ提出することが義務づけられました。ただし、「収支報告書」作成の根拠となる「会計帳簿」や「証拠書類等」を添付する必要がないため、依然としてその真実の中味は不透明です。
・「収支報告書」は、「交付条例第十一条」と「閲覧要綱第五条」により、何人も閲覧することが出来ます。しかし、「閲覧要綱第七条」により複写が禁止されているため、「公開条例」の目的である「県民の知る権利」や「議員の説明責任」が果たせない矛盾があるのは問題です。
・ただし今回は、県会議長や事務当局に対する度々の口頭抗議や要望の結果、
「収支報告書」の複写については、「公開条例」を適用して、複写可能とのお達し(議長裁量)があったのは、当然とはいえ大いに評価できます。
3.「収支報告書」の疑問点? ええっ! 全部使いきりで端数がない!
・県会議員56名の全員に対し、平成13年度は2億3500万円が交付されましたが、わずか5人の議員から66万円余が返還されたに過ぎません。
・つまり、あとの51名の議員は、見事に1円も残さずきれいに使い切っています。年額420万円の大金を、本当に全額を政務調査のみに使用しきっているのでしょうか?ちょっと常識では考えられません。
・しかも、「収支報告書」の使途目的全9項目にわたり、これまた見事に、すべて10万円未満の端数のない金額を記載している議員が2名、同じく1万円未満端数なしの議員が2名、同じく千円未満端数なしの議員は4人もいるとは、普通では考えられないことです。中味を疑いたくなります。
4.では「収支報告書」の透明化はどうすれば良いのか?
・共産党県議団(3名)は、議員の説明責任を果たすには、領収証の一枚一枚まで県民に公開するべきとして、いち早く議員団控え室で誰でも閲覧ができる体制を組み、また、自己議員団のホームページに「収支報告書」の根拠となった詳細な収支明細を掲載して公開している姿勢は大いに評価できます。他の議員もこれに見習って、自主的にすべてを公開するのが議員のあるべき本来の姿でしよう。
・「交付条令第九条」は、議長は、政務調査費の適正な運営を期すため、必要に応じ「収支報告書」の調査を行うとしています。従って、県民から「収支報告書」の内容を知りたいとの要望があれば、議長は、この調査権を発動して、議員に会計帳簿や領収書等を提出させ、請求者に公開するべきです。
・「交付規程第六条」は、議員は証拠書類等を整理保管して、5年間保存しなければなりません。県民は、県の「公開条令」の精神に則り、直接議員に対し、保存されている筈の会計帳簿や証拠書類の閲覧・開示を請求してみるのも、極めて基本的な市民の知る権利の行使ではないでしょうか。
・なお、当会は、すでに開示している共産党の3議員を除く他の53名の議員に対し、会計帳簿や証拠書類の開示を求める公開「要望書」(平成14年6月24日付け)を提出し、その可否の回答を求めています。回答結果は、おって公表する予定です。
5.皆さんのご意見は?
・以上、本稿のほか、「全議員の収支報告書一覧」と「政務調査費使途基準」をご参照のうえ、忌憚のないご意見をお寄せくださるよう、お願いいたします。
<根拠法令等>
・ 「岡山県議会の政務調査費の交付に関する条例」(平成13.4.1施行)
・ 「岡山県議会の政務調査費の交付に関する規程」( 同 上 )
・ 「岡山県議会の政務調査費に係る収支報告書の閲覧に関する要綱」(平成13.7.1施行)
・ 「岡山県議会情報公開条例」(平成14.4.1施行)
* 全議員の「政務調査費収支報告書」一覧表は、別紙を参照して下さい。
以上