政務調査費に係る議員「要望書」の回答
平成14年7月5日
市民オンブズマンおかやま
代表 東 隆司 様
岡山県議会議長 森 正人(印)
要 望 書 に つ い て
平素から県議会の活動につきまして、格別の御理解を賜り厚くお礼申し上げます。
さて、先般、日本共産党所属の議員を除く53名の議員に対して、政務調査費収支報告書の作成根拠となった
会計帳簿・証拠書類の開示・非開示の意向について照会がありましたが、ご承知のとおり「岡山県議会の政務
調査費の交付に関する条例」では、議員に対し、収支報告書を提出するよう義務づけておりますが、証拠書類
等については、議員の政治活動の自由に重大な影響を与えかねないおそれがあることから、その提出を求めて
おりません。
また、収支報告書を議長に提出するよう義務づけられていることに鑑み、議長名により回答させていただきま
すので、御了承願います。
今後とも、御指導、御鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。
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回答に対して「抗議書」提出
平成14年7月19日
抗 議 書
岡山県議会議長
森 正 人 殿
市民オンブズマンおかやま
代表 東 骼i(印)
平成14年7月5日付、貴職の「要望書について」と題する書面を確かに受領いたしました。
この書面の内容について十分に検討いたしましたが、残念ながら到底納得し難いご主張であります。
その理由は次のとおりです。
1. 私どもは、さる5月31日に、全議員の「政務調査費収支報告書」(平成13年度)を閲覧し、この報告書を複写して分析検討いたしました。その結果、その根拠となる会計帳簿・証拠書類の詳細が不明のため、個別に確たる指摘は出来ませんが、420万円の交付金全額を見事に使い切っているもの(51議員)や、各項目にわたり万円未満の端数が付かない金額を平然と記入しているもの(4議員)など、市民の常識的感覚では考えられないものが見受けられました。
2. そこで、岡山県議会の「政務調査費」が、平成13年度から議員個人に交付されていることに鑑み、6月24日付で、既に情報を公開した日本共産党の3議員を除く53名の議員個人宛に、「政務調査費収支報告書」の記載根拠となった会計帳簿・証拠書類を、広く市民に公開するよう要望し、その是非と意見を求めました。
従って、各議員が直接私どもに回答するのが当然というべきところ、当該議員に代わって県会議長である貴職が、これを一括して回答されたことは、甚だしい筋違いであり、極めて遺憾であります。
3. そもそも、国の「情報公開法」(以下公開法という)や「岡山県議会情報公開条例」(以下公開条例という)は、原則全面公開が基本理念であり、公開条例でいう、「開かれた議会を実現する」ためには、市民に対する議会と議員の説明責任を全うし、市民の疑念に応えて頂かねばなりません。
貴職は、この公開法や公開条例の理念を尊重し、むしろ全議員に対して、「積極的に情報を公開して市民の要望に応える」観点から指導すべき立場にあると思考します。
その点からいえば、いち早く会計帳簿等を公開した日本共産党3議員の姿勢を、多くの議員は見習うべきです。
4. 「政務調査費」は、議員の調査活動に資するため、議員の請求に基づいて交付されるものであります。従って、議員の調査活動は公明正大でなければならず、調査費の使途を公開するのが当然であり、これを市民に秘匿しなければならない理由は全く考えられません。
5. 「岡山県議会の政務調査費の交付に関する条例」(以下交付条例という)は、「議長と議員はこの会計帳簿・証拠書類を5年間保管しなければならない」旨を何故に規定しているのか、チェックが入らないのであれば文書の保管はないも同然です。貴職と、貴職に回答を委託した多くの議員は、この交付条例の精神を真摯に受け止めて頂きたい。
貴職ご主張の、「政治活動の自由に重大な影響を与える」との観点こそ、情報公開の精神と社会の進むべき方向に逆行するものであり、これでは、「政務調査費」の使途や、各議員が保管している筈の会計帳簿・証拠書類の存在と、「収支報告書」の真否についての疑惑が、ますます深まるばかりです。
以上の理由により、貴職から受領した文書のご主張に強く抗議するとともに、市民の疑念と要求に応えて、貴職により交付条例第9条に定める「議長の調査権」を行使されるべきことを申し添えます。
以 上