<平成15年6月29日:「オンブズマンアカデミー」資料より>
交 際 費
県庁交際費を斬る!!
こうさい‐ひ (カウサイ‥)【交際費】
1 生活上、世間とのつきあいに必要な費用。
1 官庁や会社などで、職務上のつきあいのために必要な費用。
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(1)
=はじめに=
岡山県情報公開条例が施行されたのは、平成8年10月1日でした。当会もそれを目途に設立したのであります。(平成8年9月22日)
今回の大開示分析作業は二回目です。交際費は特定の各部局の部長・次長・課長等が執行しますが、部局によっては執行者の呼称が変りますので解説の経過でお話します。
第1回目は平成10年度・知事部局「交際費」の文書を分析しました。公開条例では交際費の支払先の氏名は個人情報に該当しますので、非開示(黒塗り)が相当でした。しかし岡山市議会、市部局の交際費一部開示に「異議申立」をした結果、「病気見舞・会議懇談会の出席者名は非公開とし、すべて公開」と判断されました。
岡山県もそれに影響されたのか、平成10年度・第4四半期(11年1月)より、知事の裁量により、前述の判断が実行されることになったのです。これはホームページに記載されていますのでご覧下さい。
(2)
=交際費は誰が執行(支払う権限)するの=
正式な部署名は下記の通りです。
1・秘書課(知事室秘書課総務係):執行者、知事、副知事(2名)、知事室長の4名
2・総務学事課(総務部学事課総務係):部長、次長、課長の3名
3・東京事務所(総務課):所長 1名
4・大阪事務所(総務課):所長 1名
5・人事課(総務部人事課):人事課長 1名
6・財政課(総務部財政課):財政課長 1名
7・企画税務課(総務部企画税務課企画税制係):課長 1名
8・企画振興課(企画振興部企画振興課 総務係):部長、次長2名、課長の4名
9・国際課(企画振興部国際課):課長 1名
10・県民生活課(生活環境部県民生活課総務係):部長、次長2名、課長の4名
11・商工企画課(商工労働部商工企画課総務係):部長、次長2名、課長の4名
12・農政企画課(農林水産部農政企画課総務係):部長、次長2名、課長の4名
13・監理課(土木部監理課総務係):部長、都市局長、次長2名、課長の5名
14・会計課(出納局会計課総務係):出納長、副出納長、課長の3名
15・健康福祉課(保健福祉部健康福祉課総務係):部長、次長2名、課長の4名
16・公営事業(岡山県企業局総務課総務係):公営事業管理者、局長、総務課長の3名
17・県住宅供給公社:理事長
18・県土地開発公社:理事長
19・県開発公社(上記2公社を含め、事務部門は開発公社に統合):理事長
20・県道路開発公社:理事長
21・岡山県議会(議会事務局総務係):議長、副議長、委員長(12委員会)、事務局長の15名
(3)
=交際費の内容=
1・平成10年度までは執行項目が非常に多くみられ、例えば「香典・料」「お供え」 「花環」
「生花」「線香」「餞別」「寸志」「激励」「祝い」「見舞」「会費」「参加費」「購読料」
「賛助金」「協賛金」等です。
当会が問題提起し、マスコミ関係者等、転任の「餞別」や新年会などの「参加費」、 どう見ても“おかしな三流新聞”の「購読料」は影を潜めました。 集計の結果は所謂、葬祭費「香典・料」、「花環、生花」、「線香」が総執行金額の63%を占めていました。(8,664千円中5,471千円)。
この結果、交際費の本来的趣旨に反して多額の「葬祭費」執行は納得いかない疑問が浮上したのです。
2・今回の集計・分析は平成11年度から14年度を対象としました。
<総括表@>は年度ごとの「予算」。実際に使われた金額「執行額」。香典・生花・花環・線香などの「葬祭費」。記念品、祝い品等は「見舞他」。会費や参加費等は「会費」へと、項目を絞り込み、
「葬祭費」に重点をおいた分析であります。
3・「予算」に付いては「秘書課」が筆頭と思われていましたが、14年度県議会が横綱の地位を奪い、「秘書課」は大差で2位。農政企画が3位、土木事業を抱える「監理課」が第4位、「企画振興」が5位と続き、予算総額は下欄の合計(予算計)であります。
4・14年度の執行額で見ても、「県議会」が僅差で1位。2位が「秘書課」。3位は「農政企画」となります。総執行額は下欄「執行額計」をご覧下さい「農政企画課」の11年度は「文書廃棄」を理由に非公開でした。まったく“けしからん”話しです。
5・予算と執行額は、年々減少しています。総執行率(執行額計÷予算計)でみると
11年度:42.39% 12年度:52.12% 13年度35.69% 14年度:23.16% となります。14年度は「公社」予算が含まれるため、正確性を欠きますが減少傾向は間違いありません。理由は「財政逼迫」でしょう。
6・しかし、「葬祭費」の執行率は殆ど変わりません。かって10年度の調査が 63.15%でしたが、11年度が63.11%・12年度54.20%、13年度が63.27%、14年度が66.27%の水準を維持しています。これは「葬祭費」しか執行先が ないからです。
7・県議会は13年度決算が1,336千円、14年度が951千円と減少しましたが、情報公開条例の施行によるものでしょうか。岡山県警は今回の分析対象からはずれました。<総括表@>最下欄に決算金額の表がありますが、「県議会」に次ぐ決算額ですから、今後の開示対象とします。
(4)
=1回の金額は「イクラ」だろうか=
知事をみると、「大臣就任祝い」などに1人につき 52,500円の胡蝶蘭を贈呈。 また、葬儀に関しては知事は「花環」が主体で、やはり目立つのが目的のようです。副知事以下は「香典」が10,000円で統一、室長も同様です。全体でみると、県会議員本人、その親族(実父・義父・妻・姉・息子)にまで手厚く、一律10,000円が相場で、課長執行が5,000と半額になります。 庁職員では、本人、親族を含め、香典が5,000円、花環が5〜6,000円が相場で しょう。
<集団的執行事案>
14年度の主なる事案で、
・平成15年3月11日「小林毅県議本人葬儀」に、12部局、20人が219,335円を執行しています。
・岡本敏彦議員の実母葬儀」は11部局13名が〆て130,750円也。
・「鈴木一茂議員実母葬儀」は計105,000円也。
・「片山・平沼・加藤大臣、副大臣就任祝い」は胡蝶蘭 157,500円也
13年度、
・「片山・平沼・村田・熊代就任祝い」で120,000円。
・「桑山博之議員、実父葬儀」は10部局、27名が271,105,円
12年度、
・「平沼大臣就任祝い」が平成12年9月2日と13年3月20日の二回行われ、橋本、片山を含めて、15部局 64名が435,000円也
11年度では、なんといっても12月13日「加藤秀明県議会議長・欧州視察途上、客死事件の葬儀」で 21部局 29名が311,660円と最高額を記録。
★「おかやま・竹村会」(主宰・竹村健一氏)なるものがある。永年、知事・副知事が参加し、年会費1人150,000円、毎月の定例会費を入れると年間353,630円にもなります。当会が問題提起しましたが、13年度まで「交際費」で執行され、14年度からは「負担金・交付金」に支出科目を鞍替えしました。
全国一斉開示を気にしたのか、理由は定かでありません。本件はいち経済評論家の研究団体に税金を使い参加することは非常におかしいし、個人的に参加すべきであります。
★病気見舞の支出は殆ど消えました。公営企業や保健福祉課に若干見られる程度であります。全国オンブズマン調査でも「病気見舞」の開示度が評点に大きな比重を占めています。秘書課担当者は、知事の個人的支出と説明しています。
=終わりに=
今回の集計作業は6名のスタッフが協働しました。「交際費」は比較的内容がはっきりしていますので、楽な作業でしたが、初めての方もあり大変な御苦労もあったとか聞きました。スタッフが集計に当たってのコメントを添付(下欄)いたしますので、ご一読ください。<文責:重田>03,06,24
改めて諸兄姉のご努力を深謝致します。
冒頭に「交際費」の何たるかを記載しましたが、集計結果を見るかぎり、県民とは関係のない人々に「ばら撒き」カネが使われています。焦点を当てた「葬祭費」も予算があるから使う傾向にあります。物故者への弔慰は県を代表して知事一人で十分です。議員親族の葬儀にまで香典・花環がどうして必要なのでしょうか。身内の葬儀に何故、公金が使われるのでしょうか。さらに部局が大挙して参列・参加することも納得できませんし、執行事務も手間と時間が必要でしょう。永年の陋習もここらで止めにして、県民のためになる「生きた」カネを使う思考転換をすべきです。
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<「交際費」集計作業を終えて>
〜担当者のコメント〜(順不同)
県庁職員の身内の葬儀に費やす税金。線香代、花輪代、香料代となんと手厚く、時代錯誤の税金感覚。技術はどんどん進んできている中で、依然としてはびこる親方日の丸型依存社会。それを許す目は県庁内だけでなく一般社会の中にもあるような気がする。おかしいと思える感覚を身に付けたいと、まとめながら切に思わされた。
古賀るり子
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<県庁交際費分析の一端を担当して>
1.各部局担当者に対して、交際費支出基準の有無を尋ねたところ、異口同音に基準はないとの回答であった。しかし、支出目的や支出金額は、各部局とも足並みが揃っており、何らかの基準(ガイドライン)を示す文書なりメモなりが存在する筈である。基準を明らかにしない意図に疑惑が残る。
2.交際費とは何なのか、その支出目的を明確にし、かつ、従来の支出内容を大幅に直す必要がある。
3、すなわち、同部局に予算執行者が複数(3〜4人)存在し、しかも、それぞれ一人や同一目的に対して支出しているのはムダである。
4.また、県庁職員の家族の葬儀に対し、香典・香料・花環代等を支出しているが、交際費として支出するのは筋違いであり、職員慶弔規則等で対応するべきである。
5.交際費予算額に対して、執行額の比率が極めて低い(H14年度で20%)のは何故か。また、同一人や同一目的に対して、各部局から支出するケースが多く見られるが、儀礼的に過ぎる予算の無駄使いである。交際費の予算執行方法を一元化すべきであろう。
6、 弔意関係の個人名について、知事部局は開示しているが、議会は非開示となっている。情報開示条例が別建てとはいえ、県民に対する情報公開の観点からみれば疑問である。執行部局並に議会の開示方法を改善すべきである。
菅納 忠彦
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分析にあたって前回は手書きで行ないましたが、今回はパソコンで入力しました。簡単にパソコン入力できる方には今更・・・と思われますが、私にとっては大変な進歩。娘に怒られ、代表に教えてもらい、やっと足並みが揃いました。有難うございました。
内容に関しては、交際費における葬祭費の割合が8割以上を占めていました。税の不足が言われている中、出費をいかに押さえるか、公費で葬祭費を使うのは無 駄」であると思いました。私費でお供をして下さい。
釣崎 悦子
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県庁交際費へのコメントをということですが,他の部局については詳しくわからないのですが,土木部の交際費の場合は同じ県の職員や各地方振興局の職員・県議会議員など,相手が「身内」との交際に使われている場合が多いのが気になりました。
相手がナントカ省の事務次官殿や国会議員先生なんかの場合ですと,ご機嫌を伺っておけば岡山に何らかの利益をもたらしてくれるかもしれんということでまあ仕方がないかなとも思えるのですが,これが相手も県職員や県議などそもそもが岡山県のために働くべき人間だったりしますと,この相手との「交際」は県民にとって何のメリットもないはずですから,非常に無駄だなと思うわけです.県民の金を自分達の間で再分配しているだけではないかと。
交際費としてお金を使うからには,せめて県民に何らかのメリットがある「交際」に使って欲しいと思います。
池田幸司
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交際費に関するコメントを送ることは予定になかったので、きちんと整理できていませんが、思いつくことを列挙します。
・ 多額の大臣就任祝いは許せない。これって官官接待?議長就任祝いも同。
・ 課員への香典等は個人又は互助会(あれば)等で出すべき。県庁職員の慶弔規定を調べる必要あり。
・ 東京事務所の各省県人会会費はまったくナンセンス。県人会は任意団体でしょう?
・ 13年度からは予算・執行額ともに減っているが、支出内容からみて(ほとんどが葬儀関係)、交際費そのもの が必要かどうかの検討が必要。要するに悪しき慣習でしかいのでは?
久野千恵