平成17年1月14日

岡山市議会議長

 垣下文正様

              岡山市乙多見347
                     市民オンブズマンおかやま

                代表  重田龍三

 
議員海外視察旅行の分析結果について

 

  私たちは、平成5年度より「岡山市情報公開条例及び個人情報に関する条例」に基づき、市議会議員の
視察旅行関係公文書の開示を求め、その分析を行って参りました。

  この度、平成16年度前半期中における議員の海外視察旅行関係文書の分析を行いましたので、その結果を次の通り報告いたします。

 

1.概要

  議長は、平成16年4月と5月の間、3班20名の議員と3名の事務局職員に対し、海外における「農業」「環境・ごみ処理」「都市計画」の諸政策を中心テーマとする、平成16年度岡山市議会海外行政視察調査を、1,100万円余(一人当たり50万円弱)の費用をかけて委嘱されました。

  議員の行政視察は、議員の知識・教養を深め、議会活動に役立たせることにより、市民の利益につながるものと考えれば、それなりの意義は認められます。しかしながら、地方公共団体は、最小の経費で最大の効果を挙げるようにしなければなりません(地方自治法第2条)。

 従って、議会が実施を決定した今回の海外視察といえども、その内容が、視察の目的、態様、効果に照らして、社会通念上妥当なものであるかどうかの観点から、開示された公文書を分析して評定を行いました。

  その結果は、5段階評定のうち、D評定が2班(欧州諸都市班、北欧諸都市班)、E評定が1班(北米諸都市班)で、いずれも納得できない内容でした。

  なお、視察班ごとの分析の詳細は、別紙の分析表をご参照ください。

   (注)評定ランク

      A 優れている

      B 納得できる

      C 普通(可もなく不可もなし)

      D 物足りない

      E 良くない 

 

2.問題点と提言・要望事項など

  (1)派遣された3班は、いずれも会派(政隆会、新風会ごとが主体)による視察ですが、訪問先の調査時間が、平均わずか1〜2時間のうえ、事前調査も不十分では、効果のある行政視察結果は得られず、また、納得できる市政への具体的提言も見受けられないため、視察の実態は、まさに会派の懇親・観光旅行であると断じざるを得ません。

 

  (2)たとえば、@欧州諸都市班は、議長から委嘱された視察目的に、敢えて芸術・文化や市民の生活・環境等を掲げて、観光・見学的な視察内容を合理化しています。A北欧諸国班は、北欧三国駆け足旅行で、実質視察時間は10時間ほど、これでは腰をすえた調査が出来るはずがありません。また、B北米諸都市班にいたっては、サンノゼ市の日本友情庭園新門落成式への参加が主目的で、あとは旅費予算と旅行日程を消費するための観光旅行であり、しかも、「テックミュージアム」見学の報告書に、二人称の「あなた」が頻繁に出てくるのは、説明用カタログの丸写しとうかがわれますが、この種の引用が多く見られるのは、全く情けない話です。

 

  (3)議員による行政視察調査であるのなら、もっと調査対象の的

を絞り、事前調査はもとより、時間を掛けた内容の濃い視察調

査を行うべきであって、そのためには、当該調査目的の実施に

ふさわしい議員を指名して派遣するように改善しては如何です

か。

     ともかく、会派による団体視察旅行は認めないようにして頂きたい。

 

(4)視察報告書は、帰国の7〜8ヶ月後に議長宛提出されていますが、時間も費用も掛け過ぎです。せめて、帰国後1ヵ月程度で簡潔に報告書を纏め、議長や市民へ直ちに報告するべきです。また、報告書作成費用は、議会運営事務費の印刷製本費から支出されていますが、本来は、旅費の一部として議員が負担するべきでしょう。

 

(5)北欧諸都市班を除いて、議員個別の記述報告が見られないのは、議員による市民への説明責任が果たされたとは言えません。団体視察とはいえ、議員それぞれの視点に相違があるわけですから、参加議員全員が個別に報告書に記述するべきです。

 

(6)各視察団の報告書の終わりに、「議長はじめ職員関係各位にお礼を申し上げます」と結んでいますが、まずは、貴重で多額の公費を消費した訳ですから、納税者であり主権者である市民へこそ、真っ先に謝辞を表して然るべきでしょう。

 

(7)今回も、議長はじめ多くの職員が視察団の送迎を行っていますが、前時代的で大げさなセレモニーは、市民のひんしゅくをかうのみです。今後取りやめては如何ですか。

 

(8)以上述べたように、「百聞は一見に如かず」とはいえ、その質と効果が重要なのであって、今回のような議員の海外視察は、費用対効果の実効性が薄く、市政への反映も期待できないと見受けられたため、市財政逼迫の折から、当分の間、議員の海外行政視察を凍結されるよう要望いたします。

 

以 上

  

★別紙分析票